中国語メニューの読み方 — 旅行者のための完全ガイド

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中国のメニューは八ページ、二百品に及ぶことがあります。訳は付いておらず、料理名の多くは食材ではなく伝説や見た目から来ています。手に負えないように見えますが、よく眺めると同じ四十字ほどが繰り返し出てくることに気づきます。中国料理の名前は数式のような組み立てで、調理法、主な食材、切り方や味付けが順に並んでいるだけです。この部品さえ覚えれば、見たことのない料理名も自力で分解できます。料理名を丸暗記するより、ずっと応用が利きます。

日本語話者にはもう一つ有利な点があります。漢字がそのまま目に入ることです。ただしこれは武器であると同時に落とし穴でもあるので、後半に一節を割いています。

中国のメニューはどう並んでいるか

中国のメニューは前菜、主菜、デザートという順番では並んでいません。料理の種類でまとまっていて、できたものから順にテーブルに出てきます。

中国語 ピンイン 意味
凉菜 liángcài 冷菜。最初に出てきて前菜として食べる
热菜 rècài 温菜。メニューの中心
tāng スープ。最初ではなく最後に飲むことが多い
主食 zhǔshí ご飯、麺、饅頭など。料理を頼んだ後に足す
面点 miàndiǎn 粉もの。餃子、餅、蒸しパン
饮料 yǐnliào 飲みもの
招牌菜 zhāopáicài 看板料理。何も分からないときはここから
时价 shíjià 時価。たいてい魚介

デザートという枠はほとんど存在しません。最後に果物が出てくることがある、という程度です。

調理法の漢字が鍵になる

料理名の多くは調理法から始まります。この頭の部分が、メニューの中でいちばん多くの情報を運んでいます。

中国語 ピンイン 意味
chǎo 中華鍋で炒める。もっとも標準的な調理法
zhá 揚げる
zhēng 蒸す
zhǔ ゆでる、煮る
kǎo あぶる、焼く
红烧 hóngshāo 醤油で甘辛く煮込む。色は濃い
干煸 gānbiān 汁気を飛ばして焼き付ける。たいてい唐辛子入り
水煮 shuǐzhǔ 唐辛子油で煮る。名前に反してメニュー最上級の辛さ
麻辣 málà しびれと辛さ。花椒と唐辛子の組み合わせ
酸辣 suānlà 酸っぱ辛い。酢が前に出る
宫保 gōngbǎo 唐辛子、砂糖、酢、落花生の味付け
鱼香 yúxiāng 「魚の香り」。にんにくと唐辛子と酢のたれで、魚は入っていない

覚えるべき一つを選ぶなら 水煮 です。「水」「煮」という漢字から、日本語話者ほど水炊きのようなものを想像します。実際に来るのは、乾燥唐辛子で蓋をされた真っ赤な油の中に魚や牛肉が沈んだ一皿です。

名前と中身が一致しない料理

中国の料理名は、食材と同じくらいの頻度で食感や伝説や見た目から付けられています。よく出てくるものをいくつか挙げます。

  • 鱼香茄子(yúxiāng qiézi)— 「魚香なす」に魚は入っていません。かつて魚に使われた味付けの名前が残っただけです。
  • 蚂蚁上树(mǎyǐ shàng shù)— 「蟻が木に登る」は春雨の挽き肉炒めです。蟻に見立てられているのが挽き肉です。
  • 夫妻肺片(fūqī fèipiàn)— 「夫婦の肺片」は牛肉ともつを薄切りにして辣油で和えた四川の冷菜です。今のものに肺は使いません。
  • 狮子头(shīzi tóu)— 「獅子頭」は大きな豚肉団子の煮込みで、名前は形から来ています。

食べないような動物の名前が入っていたら、まず比喩だと思って構いません。本当の食材は名前の後ろのほうに置かれているのが普通です。

同じ漢字でも意味が違う — 日本語話者ほど注意

漢字が読めるのは大きな利点ですが、日本語の意味のまま受け取ると逆に事故が起きます。日本語話者だけが引っかかる代表例を挙げます。

中国語 日本語だとこう読める 実際の意味
湯、つまりお湯 スープ。汤面はスープに入った麺
白酒 白ワイン アルコール五十度前後の蒸留酒
野菜 野菜全般 山菜、野草。野菜は 蔬菜 や 青菜
点心 甘い菓子 軽食全般。飲茶の小皿料理も含む
饭店 食堂 ホテルを指すことが多い
拉面 日本のラーメン 手延べ麺。澄んだスープが基本で、味は別物
饺子 焼き餃子 何も言わなければ水餃子が出てくる
土豆 豆の一種 じゃがいも。台湾では落花生を指す場合もある
青椒 青唐辛子 ピーマン
味噌 たれやペースト全般
小心 気が小さい 気をつけて。注意書きでよく見る
爱人 不倫相手 配偶者。中国本土では夫や妻の意味

料理名を漢字だけで判断せず、調理法と食材の漢字を組み合わせて読む習慣をつけると、この手の取り違えはかなり減ります。

メニューでよく見かける料理

中国語 ピンイン 日本語での呼び方・中身 メモ
宫保鸡丁 gōngbǎo jīdīng 鶏肉のカシューナッツ風炒め 角切り鶏、落花生、乾燥唐辛子
麻婆豆腐 mápó dòufu 麻婆豆腐 しびれと辛さが強い。ほぼ豚肉入り
回锅肉 huíguō ròu ホイコーロー 一度ゆでてから葉野菜と炒め直す
鱼香肉丝 yúxiāng ròusī 豚肉の細切り炒め 魚は不使用。にんにくと酢のたれ
糖醋里脊 tángcù lǐjǐ 酢豚に近い甘酢の揚げ肉 衣付きで甘さ控えめ。まず外さない
红烧肉 hóngshāo ròu 豚バラの醤油煮 濃厚で甘く、時間をかけて煮込む
水煮鱼 shuǐzhǔ yú 白身魚の辣油煮 名前に反して非常に辛い
酸辣汤 suānlà tāng サンラータン 辛さは唐辛子ではなく酢と白こしょうから
蛋炒饭 dàn chǎofàn 卵チャーハン 安く済ませたいときの基本
炒面 chǎomiàn 焼きそば 地域ごとに作り方がかなり違う
饺子 jiǎozi 水餃子 基本はゆで。重さか個数で注文する
小笼包 xiǎolóngbāo 小籠包 熱いスープが入っている。一口目は慎重に
包子 bāozi 中華まん 朝食の定番
馒头 mántou 蒸しパン 具は入っていない
拉面 lāmiàn 手延べ麺 西北の料理。澄んだスープが基本
牛肉面 niúròu miàn 牛肉麺 台湾と蘭州の看板料理
火锅 huǒguō 火鍋 自分で煮る。生の食材を皿ごとに注文
烤鸭 kǎoyā 北京ダック 北京の代表料理。席で切り分ける
白切鸡 báiqiē jī ゆで鶏 広東料理。冷たいまま生姜だれで
麻辣烫 málà tàng 選んで煮てもらう辛いスープ 串を選び、重さで払う
凉皮 liángpí 冷たい平打ちの粉皮 もちもちして酸味が強い。夏の定番
肉夹馍 ròu jiā mó 煮豚を挟んだ焼きパン 中華風のハンバーガーと呼ばれる
煎饼 jiānbing 具入りのクレープ 屋台の朝食。その場で焼く
zhōu おかゆ 稀饭とも書く。朝食か夜食
油条 yóutiáo 揚げパン 豆乳と一緒に食べる
豆浆 dòujiāng 豆乳 温かいものが基本。甘いものと塩味がある
空心菜 kōngxīncài 空芯菜 にんにくと炒める
地三鲜 dì sān xiān じゃがいも、なす、ピーマンの炒め 東北料理で肉なし
西红柿炒蛋 xīhóngshì chǎodàn トマトと卵の炒めもの 中国の家庭料理の代表
干煸四季豆 gānbiān sìjìdòu いんげんの炒め焼き 挽き肉と一緒に炒めることが多い

食材の制限があるときに探す漢字

辣(là、唐辛子の辛さ)、花椒(huājiāo、しびれる山椒)、香菜(xiāngcài、パクチー)、猪肉(zhūròu、豚肉)、牛肉(niúròu、牛肉)、鸡(jī、鶏)、虾(xiā、えび)、蛋(dàn、卵)、素(sù、精進・ベジタリアン)、花生(huāshēng、落花生)。

注意点が二つあります。素 は「目に見える肉が入っていない」という意味で使われることが多く、鶏がらスープ、ラード、オイスターソースは野菜料理にもよく入っています。もう一つ、不辣(bú là、辛くない)と言われた料理にも花椒が入っていることがあります。しびれは中国語では辛さと別の感覚として扱われているためです。

注文で使えるフレーズ

中国語 ピンイン 意味
你好 nǐ hǎo こんにちは
服务员 fúwùyuán すみません(店員を呼ぶとき)
有英文菜单吗? yǒu yīngwén càidān ma? 英語のメニューはありますか
这个,谢谢 zhège, xièxie これをください(指をさしながら)
两个人 liǎng ge rén 二人です
推荐什么? tuījiàn shénme? おすすめは何ですか
不要辣 bú yào là 辛くしないでください
不要香菜 bú yào xiāngcài パクチーは抜いてください
我吃素 wǒ chī sù 肉は食べません
打包 dǎbāo 持ち帰りにしてください
买单 mǎidān お会計をお願いします
谢谢 xièxie ありがとうございます

指をさして頼むのは普通のやり方で、失礼にはあたりません。ただし中国では数を片手で表すため、指を二本立てても違う数字に見えることがあります。两个人 と口に出せば確実です。

簡体字と繁体字

中国本土は簡体字、台湾と香港とマカオは繁体字を使います。料理はおおむね同じですが表記が変わり、面(麺類)は 麵、饺子 は 餃子 になります。両方の地域を回るなら、一つの料理に二つの書き方があると考えておいてください。繁体字は日本の旧字体に近いので、日本語話者にはむしろ読みやすく感じられるはずです。

何品頼むか、どう払うか

中国の食事は取り分けが前提です。料理はテーブルの真ん中に置かれ、全員でつつくので、自分の一皿という考え方がそもそもありません。目安は人数プラス一品、そこにご飯か麺を足します。四人で四皿ずつ頼めば、確実に食べきれません。

チップの習慣は中国本土にも台湾にもなく、置いていくと追いかけてきます。香港と広東省の一部は事情が違い、一割前後のサービス料が付く店が多く、飲茶の店では座っただけで一人あたりのお茶代(茶位费、cháwèi fèi)がかかります。包装されたおしぼりやティッシュも有料の場合があるので、開ける前にテーブルの上を確認してください。

支払いはスマートフォン決済が圧倒的です。小さな店は釣り銭を用意しておらず、カード端末も置いていないことがあります。日本を出る前に現地で使える決済手段を登録しておかないと、店に入ってから詰まります。

メニューに中国語しかないとき

ホテル街を離れれば、これが普通の状態です。手書きの短冊が壁一面に貼られていたり、漢字だけのラミネート一枚だったり、写真が載っているのは全体の四分の一だったりします。ページを撮影して自分の言語で読み直せば、読めない二百行がようやく選べる一覧になります。しかも、避けたいものがどれに入っているかも同時に分かります。たいてい、こちらのほうが難しい問いです。

よくある質問

何品頼めばいいですか。 人数に一を足し、そこにご飯か麺などの主食を加えます。最初にまとめて頼まず、様子を見ながら追加するのが安全です。一皿の量は多くの旅行者の想像より大きめです。

メニューを指さすのは失礼ですか。 失礼ではありません。指をさして 这个(zhège、これ)と言うのはごく普通の注文方法で、現地の人も同じようにしています。

辛くしないでと頼めば本当に辛くないですか。 おおむね通じますが、基準は地域によって変わります。四川、湖南、貴州では 不要辣 と言っても唐辛子が見える状態で出てくることがあります。少量なら辛いうちに入らない、という感覚があるためです。現実的な落としどころは 微辣(wēi là、少しだけ辛く)です。